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第85回フロンティア材料研究所講演会(内田 健一 先生)

開催日時 2018年12月10日 16:00-17:00
開催場所 東工大 フロンティア材料研究所 R3棟1階会議室
主催フロンティア材料研究所
連絡先片瀬 貴義 (E-mail: katase@mces.titech.ac.jp, 内線: 5314)

プログラム等

第85回フロンティア材料研究所学術講演会プログラム

演題:「スピンカロリトロニクスによる熱制御」

講師:  内田 健一 先生
   (物質・材料研究機構 スピンエネルギーグループ グループリーダー)

要旨:
 スピンと熱の相互作用により、様々な物理現象が発現する。特に、温度勾配によるスピン流生成現象であるスピンゼーベック効果[1]の発見を皮切りに、スピンカロリトロニクス[2]と呼ばれるスピントロニクスと熱の融合研究が急速な進展を見せている。これまでのスピンカロリトロニクス研究は、熱電発電への応用を念頭に置いて、熱流からスピン流・電流を生成する現象に主に焦点が当てられてきたが、スピン流やスピン偏極電流を入力とした熱応答現象も多く存在する。例えば、スピン流による熱流生成現象であるスピンペルチェ効果(スピンゼーベック効果の相反現象)[3-5]、強磁性体中で発現する熱電効果の一つである異常エッチングスハウゼン効果[6]などが例として挙げられる。我々は近年、ロックインサーモグラフィ法と呼ばれる動的赤外線解析技術を用いて、これらの現象による熱応答の空間分布をイメージング計測することに成功した。その結果、スピン流には空間的に局在した特異な温度変化が伴うことなど、スピンを使わなければ実現できない熱制御機能が見出されてきた。さらに、最近我々が観測に成功した「異方性磁気ペルチェ効果」[7-9]を用いれば、従来必須だった異物質の接合構造を作製すること無く、磁性体中で電流を曲げるだけで、単一物質において電子冷却・加熱することが可能になる。本講演では、異方性磁気ペルチェ効果に関する研究を中心に、ロックインサーモグラフィ法に基づくイメージング計測により明らかにした種々のスピンカロリトロニクス現象の特性・機能を紹介する。

[1] K. Uchida et al., Nature 455, 778 (2008), Nature Mater. 9, 894 (2010), Proc. IEEE 104, 1946 (2016), 他
[2] G. E. W. Bauer, E. Saitoh, and B. J. van Wees, Nature Mater. 11, 391 (2012).
[3] J. Flipse et al., Phys. Rev. Lett. 113, 027601 (2014).
[4] S. Daimon, R. Iguchi, T. Hioki, E. Saitoh, and K. Uchida, Nature Commun. 7, 13754 (2016), 他
[5] K. Uchida et al., Sci. Rep. 8, 16067 (2018).
[6] T. Seki, R. Iguchi, K. Takanashi, and K. Uchida, Appl. Phys. Lett. 112, 152403 (2018).
[7] K. Uchida, S. Daimon, R. Iguchi, and E. Saitoh, Nature 558, 95 (2018).
[8] K. Masuda, K. Uchida, R. Iguchi, and Y. Miura, arXiv:1806.06521.
[9] R. Das, R. Iguchi, and K. Uchida, arXiv:1809.05741.

 

神谷・片瀬研究室

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