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第87回フロンティア材料研究所講演会 (吉岡裕典先生)

開催日時 2018年11月29日 14:00 -15:30
開催場所 R3棟 6階 大ゼミ室
主催フロンティア材料研究所
連絡先大場研究室 松下 雄一郎(内線: 5343)

プログラム等

第87回フロンティア材料研究所講演会

講師: 吉岡 裕典 先生
    (産業技術総合研究所 先進パワーエレクトロニクス研究センター)

演題:
 SiC MOSFETのチャネル伝導度抑制原因である界面準位の電気的評価

1.背景
電力変換器の損失低減に有用なSiC MOSFETにおいては、SiO2/SiCチャネル界面に多数の界面準位が存在しており、チャネル伝導度を劣化させている。N導入やH導入など様々なチャネル伝導度向上プロセスが提案されてきたが、Si MOSFETほどの特性は得られていない。更なる特性向上には、チャネル伝導度抑制原因である界面準位をより詳細に評価し、その起源を特定する必要がある。

2.応答速度に留意した界面準位密度の評価と捕獲断面積[1-3]
従来の評価方法は応答の速い界面準位を検出できない不適切な手法であることを示し、より適切な界面準位評価手法を提案した。応答の速い界面準位を評価できる新手法を用いることで、従来の手法では界面準位密度は過小評価され、実際にはより多くの界面準位が存在していることを示した。また、Nを導入した試料では非常に応答の速い特異な界面準位が生成していることを示した。応答時定数から界面準位の捕獲断面を求めた。

3.より浅いエネルギーの界面準位密度の評価とチャネル移動度との相関[4-6]
様々な手法を駆使しバンドギャップ中から伝導帯端(EC-EF = 約 0.2~0 eV)までの界面準位密度のエネルギー分布を求めた。界面準位は伝導帯端に近づくほど指数関数的に増加した。様々な条件で作製した試料を用いた統計的手法により、チャネル移動度はより伝導帯端に近い界面準位密度と強い相関関係にあることを示した。界面準位の総量は、チャネル伝導度向上プロセス(N,H導入)後さえでも、約5X1012 cm−2 残存していることを示した。 上記の界面準位密度分布を決定する解析において、アンダーソン・モットらの理論[7]に従い、一つの移動度端(エネルギー)を境に、それ以上を非局在準位(伝導帯)、それ以下を局在準位(界面準位)と仮定した。この仮定とホッピング伝導を考慮することで、MOSFETの幅広い温度範囲(4.2~300 K)のI-V特性を矛盾なく再現できた。つまり、伝導帯中に界面準位は存在していない。 界面準位密度が伝導帯端に近づくに従い単調増加することと伝導帯端の界面準位密度が伝導帯2D-DOS(5X1014 cm−2eV−1)と同程度であることから、界面準位は界面の揺らぎによって生じた伝導帯DOSのtailであると推測している。

4.界面準位を介したホッピング伝導[6]
従来は界面準位の電子は伝導に寄与しないと想定していた。しかし、測定したドレイン電流の温度依存性を詳細に解析した結果、界面準位を介した2次元variable-range hopping (2D-VRH)伝導[7]が低温、低電流領域で支配的であることを見出した。2D-VRHの理論式で実験結果をフィッテングすることで、フィッテングパラメータとして界面準位波動関数の減衰長を約3 nmと決定した。つまり、各界面準位は約3 nmの領域に局在していることを見出した。

[1] H. Yoshioka et. al., JAP 111, 014502 (2012).
[2] H. Yoshioka et. al., JAP 112, 024520 (2012).
[3] H. Yoshioka et. al., JAP 115, 014502 (2014).
[4] H. Yoshioka et. al., APL 104, 083516 (2014).
[5] H. Yoshioka et. al., AIP Advances 5, 017109 (2015).
[6] H. Yoshioka et. al., AIP Advances 8, 045217 (2018).
[7] F. N. Mott and E. A. Davis, Electronic processes in non-crystalline materials, 2nd ed. (Oxford, Oxford, 1979).

 

 

 大場研究室

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