電気炉 (ハンドメイド)

著者: 武田 悠二郎、修士課程1年生(2003年度)

1. どんな装置ですか? 何がわかりますか?

 酸化物試料の作成は原料を均一に混ぜ、ペレット状に整形してから電気炉で熱処理する事で化学反応を誘発して作ります (固相反応法)。多くの酸化物は高い融点を持ち、また、原料も高温まで反応しないため、酸化物試料を合成するためには1000℃以上の高温が必要になります。また、原料、試料中に揮発性の高い成分が入っていると、電気炉を汚染してしまいます。

 私たち研究室では、合成する試料に応じて、異なる電気炉を使用しています。基本的に自分が使いたい炉は自分で作製、温度校正、メンテナンス等を行います。

 現在私たちが使っているのは、次のような電気炉です。

1. シリコニット炉
 発熱体:シリコニット(SiC)
 最高温度:1500℃ 常用温度:1400℃
 特徴:1000℃以上の高温が必要なときに使う。急激な温度変化に弱い。

2. スーパーカンタル炉
 発熱体:カンタル・スーパー発熱体
 最高温度:1500℃ 常用温度:1400℃
 特徴:私たちが使っているのは、高速昇温炉の異名を持つ便利な炉です。
    1000℃まで15分で昇温可能です。
    PLD用ターゲットの焼結や薄膜のアニール処理など大気中の
    熱処理に使用します。

3. 環状炉
 発熱体:カンタル線
 最高温度:1100℃ 常用温度:1000℃
 特徴: 封管したサンプルや比較的低温での熱処理に使用しています。
     石英ガラス管を炉心管に使っているため、窒素、酸素、
     アルゴン雰囲気中での加熱処理が可能です。

4. 硫化物精製炉
  常用温度:1000℃
  特徴:硫化水素を流しながらの熱処理に使います。ドラフト内で使用。

5. 水素処理炉(溝口氏(研究室OB)作製、本光君改造)
  発熱体:カンタル線
  最高温度:1100℃ 常用温度:1000℃
  特徴:水素還元処理に使われます。

6. スーパーカンタル炉 (山口君修復)
  最高温度:1600℃ 常用温度:1400℃
  特徴: 比較的容量が大きく、るつぼごと入れての高温熱処理が可能。
  主にC12A7の溶融に使用しています。