Vibrating Sample Magnetometer (VSM)

著者: 川村 竜登、 修士課程1年生 (2005年度)

1. どんな装置ですか? 何がわかりますか?

  VSMとは、試料振動型磁力計(Vibrating Sample Magnetometer)のことであり、均一磁場中においた試料を一定の周波数・振幅で振動させ、試料近辺に配置した検出コイルに誘起される起電力をロックインアンプを用いて検出することにより、試料の磁化特性を測定する装置です。

図1.PPMSとVSM                  図2.VSM

 VSMは、PPMSと組み合わせて使用します。また、VSMは試料を振動させる機械的加振器、加振器の振動数と振幅が一定になるよう制御する電気回路、磁化検出コイルで発生した誘導起電力を増幅・位相検波して直流信号に変換する電気回路などから構成されています。

 この装置を用いて、合成した物質の磁化の磁場依存性(M -H曲線)、あるいは温度依存性(M - T曲線)を測定し、その形状などから、物質の磁性を明らかにしています。

2. どんな原理で測定できるのですか?

 VSMの測定では、試料を一定の振動数、振幅で振動させます。試料の振動に伴い、試料中を通る磁束が変わり、コイルに起電Vcoil力を誘起します。

   Vcoil = 2πf CmA sin(2πf t)

 Vcoilはコイルに発生した誘導起電力、f は振動数、C は定数、m は磁化、A は振幅、t は時間です。この関係から、Vcoilを測定することにより磁化m を求めることができます。