蛍光X線分析装置 ZSX100e (Rigaku)

著者: 山口 誉滋、修士課程1年生 (2003年度)

1. どんな装置ですか? 何がわかりますか?

 試料にX線を照射した時に出てくる光(蛍光)のスペクトルを測定して、試料に含まれている元素が何であるか(定性分析)、また、それらの元素がどれだけの量存在するか(定量分析)を調べる装置(図1)です。この装置ではB(ホウ素)からU(ウラン)まで、周期律表にあるほとんどの元素を検出できます。

 

図1 蛍光X線分析装置

 私たちの研究室では、新しい物質の探索と合成、薄膜の作製をしていますので、本当に欲しい組成の試料が得られたのかどうかを確認するのに使っています。また、半導体や発光材料の特性はほんのわずかな不純物によって大きく影響を受けます。そのため、微量な不純物の検出が可能なこの装置が非常に役に立っています。

2. どんな原理で測定できるのですか?

 原子内の電子は、それぞれに固有のエネルギーを持つ「軌道」に束縛されています。原子に十分大きなエネルギーを持つ光(X線)を当てると、一部の電子はもっとエネルギーの高い軌道や原子の外に弾き飛ばされてしまいます(図2-1)。すると、もとの軌道には電子がいなくなります。そうなると、もっとエネルギーの高い軌道にいる電子がこの軌道に飛び移ることがあります。このとき、それぞれの軌道のエネルギー差に相当する光を発します(図2-2)。ここで発せられた光の波長は原子固有なので、その波長を測れば、試料中に存在する元素の定性分析ができることになります。また、発せられた光の強度からは、存在元素の定量分析も可能です。 

図2-1 弾き飛ばされた電子

図2-2 光を発しながら落ち込む電子