イソブチレン系粘弾性体の温度・振動数・振幅依存と解析モデル化


 近年,ダンパーにつながる主架構への過大な入力を避けるために,振幅依存性をもつ非線形粘弾性体が開発されている。笠井研究室では,すでに分数微分を用いて,広範囲な温度・振動数・振幅での挙動を精密に再現できるアクリル系粘弾性体の非線形モデルを構築している。本研究ではアクリル系と同じく分数微分モデルを基本として,小歪領域ではだ円,大歪領域ではバイリニアの履歴形状を示すイソブチレン系材料の高精度な力学モデルを構築する。
 だ円型履歴の線形挙動を示す小歪領域においては,アクリル系粘弾性体と同様に温度・振動数依存性の等価則を用いて,分数微分モデルを構築する。一方,バイリニアの履歴形状を示す大歪領域においては,粘弾性(VE)要素に並列に,非線形バネ(NS)要素と非線形粘性(ND)要素を付加する。本モデルは広範囲な温度,振動数,振幅に対して実験値とよく一致した。現状では,定常波入力の場合のみを対象としているが,今後は載荷初期における応力の増大,歪振幅漸増・漸減波や地震などのランダム波入力に対応し得るモデルへと展開していく予定である。