粘弾性・弾塑性体直列結合ダンパーの制振効果に関する研究

  現在実用化されているパッシブ制振装置は,その挙動により速度依存・変位依存型に大別される。これらの装置には有効性の反面,その作用原理上,逃れられない制約条件が存在しているのが実状である。速度依存型では大地震での応答速度の増大とともに装置反力が増大し,一方,変位依存型においては中小地震では減衰が小さいことから,構造物の加速度応答が増大する可能性があり,残留変形・応力,低サイクル疲労等の問題もある。
  これらの点を改善するため,速度依存型,変位依存型を直列結合することを提案し,前者には粘弾性体(Visco-Elastic, VE),後者には摩擦材と鋼材の組み合わせからなる弾塑性体(Elasto-Plastic, EP)を考慮する。この装置全体を「粘弾塑性」またはVEP(Visco-Elasto-Plastic)ダンパーと呼ぶ。小・中振幅でVE部,大振幅でVE・EP部両方がエネルギーを吸収し,かつ大振幅における反力は,EP部降伏(摩擦部すべり)により制限されることから,VEPダンパーはVE部またはEP部のみをダンパーとして用いた場合より優れた制振効果を発揮することが期待できる。
  笠井研究室では,縮小モデル(0.4倍)による試験体を用いて,ブレース型VEPダンパーをもつシステムの性能確認実験を行った。また前述の三種の制振システムの性能比較のため,粘弾性(VE)システム,弾塑性(EP)システム実験も行った。使用した鋼材はSS400材,粘弾性材料は住友3M社製のアクリル系高分子材料ISD111,摩擦材は通常の自動車のブレーキパットとして用いられている素材(80 x 80 x 4 mm)である。


VEPダンパー詳細図