研究室の紹介

須崎研究室は、材料物理科学専攻の酸化物薄膜・界面工学の研究室です。イオン結合性・電子間相互作用などの酸化物特有の効果に、ナノスケールでの構造的工夫を絡めていく酸化物薄膜の研究は、たいへんやり甲斐がある研究分野です。興味を持たれた方は、ぜひ須崎susaki @ msl.titech.ac.jp までお問い合わせ下さい。(2012412日改訂)

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それほど大規模ではなく、実験室で実行可能な実験の面白さは、短いサイクルで、独自の手、創造的な手、意表を突いた手連続して繰り出してゆくことにあります。独創的かつ強力な手を連発した時、まさに(本人にとっても)意表をついた新しい知見が得られることになります。(よく知りませんが、独創的なサッカーのゴールのようなものでしょうか?) 

エレクトロニクス新材料開発を念頭においた酸化物薄膜研究は、酸化物エレクトロニクスとして近年特に発展が著しい分野であり、物理学、材料学、化学、エレクトロニクスなどのバックグランドを持った研究者が次々と参入をしています。須崎は2003 年にこの分野に加わり、日本における酸化物エレクトロニクス研究を先導してきた東工大すずかけ台キャンパスにおいて 2007 年に研究室を開設しました。

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l        研究テーマ例

1. ヘテロ界面を利用した表面電子状態の設計(低仕事関数表面の実現など)

2. MgO(111) に代表される天然には存在しない酸化物薄膜の作製と輸送特性評価

3. 酸化物デバイスの開発

4. 新奇磁気輸送特性の探索

5. 光電子分光による電子状態観察

6. 酸化物表面での触媒機能開発

 

l        研究室の特徴

1. 単純で、面白いものを

 2007 年以降、須崎研で研究を行ってきた対象の一つが、酸化マグネシウム(MgO)の ( 111 ) 面です。原子スケールで見ると、天然にも存在する (100) 面(図左)は、O2- イオン、Mg2+ イオンの数のバランスが取れているのですが、人工的な (111) 面(図右)はすべて陽イオン、あるいは陰イオンからなり、電気的に不安定であることが分かります。このような問題は酸化物においてはきわめて一般的に見られるもので、実際、もう少し複雑な構造を持った遷移金属酸化物においては、このような不安定な界面において特異な電子状態が形成されることが見出され、世界的に精力的に研究が進められています。須崎は、複雑な遷移金属酸化物にも魅力を感じますが、MgO(111)  に代表されるように、究極的に単純で、これ以上還元できない系に特に魅力を感じ、単純な系を用いてこそ、特異な電子状態の起源や、機能発現のための必要要素を明らかにすることができると考えています。

2. クラーク数上位元素酸化物を対象に

 須崎研は、材料研究により安全、安心社会に寄与することを目指す応用セラミックス研究所・セキュアマテリアル研究センターに所属し、資源枯渇、環境に配慮した研究を行っています。結果として、酸化物薄膜の研究室としては際立ってユニークな研究室となっています。

3. エレクトロニクス、化学、生体応用への志向

 学際志向は、材料物理科学専攻の大きな特徴です。須崎の専門は固体物理学ですが、硬 X 線天文学(学部4年夏学期)から研究を開始し、学位取得後は化学の研究室に就職するなど、これまでも学際的環境から大いに刺激を受けてきました。酸化物薄膜の研究が、新エレクトロニクス材料の開発に直結しているのは言うまでもないですが、須崎研ではエレクトロニクス応用以外にも触媒などの表面化学機能、環境・生命体にやさしいクラーク数上位元素ならではの生体応用を念頭に置いて研究を進めています。生体応用に関しては、2010 年度から文部科学省・6研究所連携プロジェクトの「高度生体材料創製分野」に参加しています。

 

l        研究室での活動の実際

1. 酸化物薄膜の作製と評価

 レーザーアブレーション法を用い(上の写真)、真空槽内に準備した薄膜原料に高いエネルギー密度を持つレーザーをパルス的に照射し、原料の表面をはぎとって基板上に堆積させてゆきます。このようにして、岩塩構造の (111) 面のような特異な面を界面・表面とする人工構造を作製しています。試料の評価は、面内の輸送特性測定や、接合の電圧-電気容量特性評価(下の写真)、さらに極薄膜の電子状態観察に有効であるケルビンプローブ、光電子分光という手法を用いて行っています。

2. 定例の研究室ゼミ

週一回、研究室ゼミを行っています。メンバーに言っていることは、いかに自分が頑張ったか、いかに自分が優秀かをアピールするのではなく、短い時間で、(1) いかに自分の研究にプラスになる助言をもらうか、(2) いかに他のメンバーの研究にプラスになる情報を伝えるか、ということに注意して発表してほしい、ということです。

3. 研究成果の発表

研究成果は、積極的に国内・国際学会や学術雑誌で発表してゆきます。国内でもっとも関連が深い学会は応用物理学会になります。

 

l        修了後の進路

 大学院で培った理工系の力を活かし、さまざまな分野で活躍して欲しいと思っています。材料物理科学専攻としては、修士、あるいは博士を修了した後、特に民間企業で活躍する人材の育成を目指し、さまざまな就職支援を行っています。

 

 

以下、参考になるかどうか分かりませんが、着任直後の文章です。 

 [大学院入学まで - 須崎の場合] – 須崎の大学院進学までの経緯を書きとめました。少しでも参考になれば嬉しいです。(2007 9 月)