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― 超高品質SrRuO3薄膜を用いて『磁性ワイル半金属状態』の存在を実証 ―
(Hena Das特任准教授、Sergey Nikolaev特任助教)
世界で初めてエキゾチックな準粒子の量子的電気伝導を観測
― 超高品質SrRuO3薄膜を用いて『磁性ワイル半金属状態』の存在を実証 ―
(Hena Das特任准教授、Sergey Nikolaev特任助教)

東工大ニュース 2020年10月16日

日本電信電話株式会社(以下 NTT)は、SrRuO3 [Sr(ストロンチウム)、Ru(ルテニウム)、O(酸素)からなる化合物]の極めて高品質な単結晶薄膜を作製し、東京大学大学院工学系研究科 電気系工学専攻 田中雅明教授らの研究グループと共同で、その低温、磁場下での電気伝導を測定することにより、『磁性ワイル半金属状態』と呼ばれるエキゾチックな状態に特有の量子的な電気伝導特性を世界で初めて観測しました。実験に加えて、東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所のHena Das(ヘナ・ダス)特任准教授、Sergey Nikolaev(セルゲイ・ニコラエフ)特任助教らの研究グループと共同の理論計算によっても、当該物質中に『磁性ワイル半金属状態』が実現することを実証しました。酸化物中に『磁性ワイル半金属状態』が存在することを理論・実験の両面で示した初めての研究成果です。

SrRuO3は、マイナス120℃程度以下まで冷やすと強磁性を示す金属です。一定サイズ(数mm角)以上のバルク単結晶の作製は困難なことが知られていますが、素子作製などに必要とされる比較的面積の大きい単結晶薄膜は、酸化物エレクトロニクスの分野で広く用いられています。今回作製したSrRuO3薄膜は、NTTが独自に培った高品質な酸化物薄膜作製技術と、機械学習を援用した作製条件の最適化(プロセスインフォマティクス)との組み合わせによって得られたもので、金属薄膜の品質の指標となる残留抵抗比の記録を20年ぶりに塗り替える高品質なものです。

本研究により、物質中に『磁性ワイル半金属状態』が実在することがより強固に示されるとともに、そのようなエキゾチックな状態が示す特異で量子的な電気伝導特性やその発現機構に関する基礎科学的な知見が得られました。物質中に『磁性ワイル半金属状態』が存在し得ることの最初の実験的検証[用語7]からわずか3年が経過したばかりの現在、研究は黎明期にあり、成果の応用に関しては、素子の動作原理等に新たな可能性が加えられたという段階ですが、素子用の酸化物材料の研究に新機軸をもたらすとともに、将来的に新原理で動作する量子素子(デバイス)の設計等に資するものと期待されます。

本成果は、英国科学雑誌「Nature Communications」10月9日号に掲載されました。

 

詳細は、東工大ニュースをご覧ください。

本研究成果の関連記事が掲載されました。
 ・日刊工業新聞 2020年10月13日付 朝刊27面 
 ・化学工業日報 2020年10月16日付 朝刊6面 

 

【論文情報】
掲載誌 : Nature Communications (2020)
論文タイトル : Quantum transport evidence of Weyl fermions in an epitaxial ferromagnetic oxide
著者 : Kosuke Takiguchi, Yuki K. Wakabayashi, Hiroshi Irie, Yoshiharu Krockenberger, Takuma Otsuka, Hiroshi Sawada, Sergey A. Nikolaev, Hena Das, Masaaki Tanaka, Yoshitaka Taniyasu, and Hideki Yamamoto
DOI : 10.1038/s41467-020-18646-8

 

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