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共同利用研究 研究成果 (2012年度)

 粘性系ダンパー有効性を確認(笠井和彦 教授)

森ビル(港区)は、7日、東日本大震災時の同社所有ビルの地震実測データを分析した結果、オイルや粘性体の抵抗で揺れを吸収する粘性系ダンパーの有効性を確認したと発表した。同震災発生時、最上階の54階では揺れ幅が32センチに達したが、制震装置がなかった場合(61センチ)と比べて揺れ幅を半分に低減できたという。 同社がタワー内に設置している地震計等のデータを笠井和彦教授が分析した。

粘性系ダンパーは一般的に広く使われている鋼材系ダンパーと比べ、風揺れ程度から大地震まで幅広い揺れに対応することができるほか、長周期地震動にも効果が確認できたことから、高層ビルには粘性系ダンパーの利用が効果があると分析された。近く発生が予測される東南海地震でも粘性系ダンパーの効果が期待される。 同社の発表記事は日刊建設産業新聞他8紙に掲載された。  


日刊建設産業新聞 2013年3月8日朝刊10面

 

 アンモニア合成触媒 エネルギー消費 1/10(細野秀雄教授 原亨和教授) 

細野秀雄教授、原亨和教授らの研究チーム(松石聡助教、北野政明特任助教)がアンモニア合成を大幅に効率化できる触媒を開発したことを10月22日付の英国の科学誌「Nature Chemitsry」で発表した。

セメント成分にルテニウムのナノ粒子をつけた触媒で、従来の触媒と比べ10分の1のエネルギーで合成することができ、膨大なエネルギー消費が課題となっている現行の合成法の省エネにつながる可能性がある。 1

0月22日付の「Nature Chemistry」はこちら、本学発表の詳細についてはこちらを参照。

 

 白色LED 発光面積10倍で均一(細野秀雄教授 松石聡助教) 

小糸製作所が細野秀雄教授と名古屋大学の澤博教授らの研究グループと新しい結晶構造を持つ「クルムス蛍光体」を使った白色発光ダイオード(LED)を開発したことを10月17日付の英国の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」発表した。

現在の白色LEDに比べ、まぶしさ(輝度)を10分の1以下にし、発光のばらつきを抑え、照度範囲も広いのが特徴。2015年にも実用化を目指すという。

10月17日付の「Nature Communications」はこちら。 本学及び、小糸製作所、名古屋大学、東京工業大学による発表はこちらを参照。

 

 分極の回転を観察-鉛フリーの圧電材に道(岡研吾特任助教、東正樹教授) 

岡研吾特任助教、東正樹教授らの研究グループが圧電体の中で電気の偏り(分極)の方向が回転する様子を観察することに成功したことを、7月2日付のドイツ化学誌『Angewandte Chemie International Edition』のオンライン版で発表した。

分極の回転は、実用材料であるジルコン酸チタン酸鉛(PZT)の巨大圧電特性の起源と言われながら、これまで実際に観察されたことはなかった。岡特任助教らは、PZT を模して新しく開発したコバルト酸鉄酸ビスマス圧電体の結晶構造を詳しく調べ、分極方向が温度と組成に応じて回転することを見いだした。今回の観察結果は環境に有害な鉛を廃した新圧電材料の開発につながると期待される。

7月2日付の「Angewandte Chemie International Edition」はこちら、本学発表の詳細についてはこちらを参照。

 

 物質の電子 動き撮影(笹川崇男准教授) 

笹川崇男准教授ら国際共同チームが、物質の中で電子が集団で運動する様子をリアルタイムで撮影し、電子の振幅と位相の時間がずれる現象を発見したことを5月15日付けの英の科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で発表した。

近年、秩序状態にある電子を光パルスなどで励起し、過渡的に集団運動する新しい電子状態を創造して電子機能につなげようという研究が盛んになっており、今回の観測結果はそうした研究を大きく前進させると期待される。

5月15日付「Nature Communications」はこちら、本学発表の詳細についてはこちらを参照。

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