特定研究課題の概要 |
1. 巨大負熱膨張材料を用いた熱膨張抑制技術の確立 |
代表者:東 正樹
熱膨張による位置決めのずれは、パワー半導体や3次元集積回路素子といった先端電子デバイスや、熱電変換、燃料電池といったエネルギー・環境技術において、喫緊の課題と認識されており、技術革新には熱膨張制御が不可欠である。固体物質の持つ電荷・軌道、スピン、フォノンの自由度とその秩序相の制御によって巨大な負熱膨張を発現する、革新的負熱膨張材料を用い、樹脂と複合化することで熱膨張を制御する技術を開発する。
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2. 計算・データ科学による電子材料の機能解明と設計 |
代表者:大場 史康
材料の真の理解と的確な設計には、機能の起源となる原子・電子スケールの構造まで掘り下げた考察が不可欠である。本課題では、第一原理計算をはじめとした計算科学手法及びデータ科学手法を駆使して、多様な電子材料を対象に原子・電子構造と機能の相関を解明することを目的とする。分光法や電子顕微鏡法等による評価実験との連携も推進することで、原子・電子レベルの情報を的確に獲得し、その知見をもとに新材料の設計・提案へと展開することを目指す。
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3. 建築物の損傷制御のための構造性能評価方法の開発 |
代表者:西村 康志郎
建築物の構造設計は、許容応力度設計から終局限界耐力設計となり、2000年くらいからは性能評価型設計に移行しつつある。これは、地震などによる災害後にも継続利用が要求されるようになってきたためであり、建築物の機能に関する多様な要求に対して、構造性能を評価する必要性が高まっている。具体的には、建築物の耐力や強度だけでなく、変形も評価する必要がある。部材と部材の接合部での過度なずれや、コンクリートの大きな残留ひび割れなどの損傷で、十分な耐力を残していても機能を維持できない場合がある。この研究では、主にコンクリート系の建築構造物を対象に、損傷制御のための構造性能評価方法の開発を目的とする。
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4. インバースデザインを活用したライフイノベーションマテリアルの開発 |
代表者:神谷 利夫
フロンティア材料研究所は、名古屋大学、東北大学、大阪大学、東京医科歯科大学、早稲田大学の各研究所と連携し、エネルギー、資源、環境、生体、医療の課題を解決し、私たちの生活を劇的に向上させるライフイノベーションマテリアルの開発を推進してきました。この連携プロジェクトは2020年度で終了しますが、引き続き、共同研究の募集を行います。今年度からは、計算科学、データ科学等をより活用し、当研究所が得意とする特異なイオン価数や複合した化学結合を取り自然ナノ構造のような特異構造を取りやすいという無機材料の特徴や、形状記憶合金に代表される特殊機能をもつ金属材料などの高度化、新材料開拓にかかわる研究テーマを推進します。
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5. 元素戦略にもとづく機能材料の開発 |
代表者:平松 秀典
資源に乏しい日本において、ありふれた元素からなる物質から有用な機能性を引き出してゆくことはきわめて重要であり、このような視点から社会に寄与することが求められている。本課題では、エレクトロニクスを中心とする様々な有用な機能性材料の実現を目指し、ありふれた元素をベースに物質開発を行う。研究手法としては、バルクおよび薄膜などの試料作製に加え、試料の構造的、および電子的観測、さらに理論的な解析も含む。
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