特定研究課題の概要 |
1. 可視-近赤外光応答型新規ヨーク-シェルナノ構造光触媒の創製による太陽光水素製造 |
代表者:陳 君怡
半導体光触媒を用いたソーラー水素生産は持続可能なエネルギー開発の中核的コンセプトとして注目されている。なかでも太陽光のエネルギー分布の50%超を占める近赤外線は未利用のエネルギー源として重要であり、近赤外光照射に反応できる光触媒の開発が求められてきた。本研究で開発したヨーク-シェル構造を有するAu@Cu7S4 は可視光および近赤外線励起下で長寿命での電荷分離状態を維持した。さらにヨーク- シェルナノ構造の利点を生かし、新規ヨーク- シェルナノ構造光触媒は記録的な量子収率を達成し、共触媒を必要としない水素生産において優れた性能を発揮した。今回の研究では、自己ドープされた非化学量論半導体ナノクリスタルの局所表面プラズモン共鳴(LSPR)特性を利用して、広範なスペクトル駆動可能な光触媒反応の実現可能性が示された。この可視光および近赤外線応答型の持続可能光触媒システムの開発により、太陽エネルギーのより効率的な活用や、水素などの再生可能なエネルギー源の生成が期待される。
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2. 高活性かつ高均質な複合酸化触媒の開発 |
代表者:石川 理史
固体触媒は資源の有効変換やエネルギー生産等、様々な分野で利用されている。一方、その作用は詳細に理解されてない。性能を高めるため触媒の構造・組成が複雑化したことに起因し、触媒作用を発揮する場(触媒活性構造)の特定が著しく困難となったためである。本研究では、固体触媒として広く用いられる複合酸化物触媒を対象として、高均質な高性能触媒を開発する。これらは従来触媒と異なり組成・構造とも均質であるため、結晶構造と触媒機能の関係を調べることで、その触媒活性構造を明らかにできる。無機合成化学、触媒反応学、分析化学を高度に融合し、高性能触媒の触媒作用を解明する。
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3.建築物の応答特性を踏まえた非構造部材の耐震性能評価 |
代表者:石原 直
地震後の建築物の継続使用に関する要求は年々高まってきており、構造躯体の耐震性が一定程度確保されつつある現在では、非構造部材の地震被害を抑制することが重要となっている。非構造部材の耐震設計では、様々な建築物の応答特性が必ずしも十分には考慮されずに、慣用的な設計用地震力や目標変形などを目安に耐震性が確認されることが多く、不十分な設計目標となっている可能性がある。本研究では、建築物の応答特性を踏まえた非構造部材の地震時の応答・挙動を検討し、耐震性能を評価する。
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4. マテリアルデジタルトランスフォーメーションによる電子機能材料・デバイスの開発 |
代表者:神谷 利夫
従来の材料開発手法に計算科学だけでなくデータ科学を取り入れることで、新材料・デバイス開発を劇的に加速する「マテリアルデジタルトランスフォーメーション(MDX)」のアプローチ、材料・デバイス開発等の研究課題を募集する。多数の実験・計算結果からの予測モデルの構築・最適化、新材料を発掘する新しいアイデアを申請者と応募者で共有し、MDXシステムおよび新材料・デバイスの開発を行う。
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