研究内容 (Research)
我々のグループでは、主に以下のプロジェクトが進行中です。
アンモニア合成プロジェクト | 高触媒性能・高均質な固体触媒開発 |トピックス
アンモニア合成プロジェクト
およそ100年前に確立されたハーバー・ボッシュ法によってアンモニアの大量生産が可能となり、その生産量は全世界で年間1.7億トンを越える勢いで増え続けています。この発明によって、食料生産に欠かせない化学肥料(窒素肥料)を十分に供給できるようになり、70億を超える人口が支えられています。さらに、アンモニアは10気圧、室温で液化が可能であり、貯蔵・運搬が容易な水素エネルギーキャリアとしても近年注目されていることから、これまで以上にエネルギー消費を抑えてアンモニアを生産することは重要な課題となっています。このような研究背景の下、我々は新材料12CaO·7Al2O3エレクトライド(C12A7:e–)をベースにした触媒を創出することにより、低環境負荷アンモニア生産に至る新たなルートを見出しました。C12A7:e–にRuナノ粒子を固定した材料(Ru/C12A7:e–)は強力な電子注入によるN2分子の効率的解離により、従来の触媒に対して1桁大きいアンモニア生成速度と1/2の活性化エネルギーを達成する触媒として働きます。さらにこの触媒はRu触媒の最大の欠点である水素被毒を抑制できるため、加圧下でもアンモニア合成効率が低下することがありません。この成果を論文(Nature Chemistry)で発表した後、RSC Advancing the Chemical Sciences のNews、読売新聞、日経新聞などに報道されるだけでなく、内閣府により「特筆すべき成果」として評価されています。
2013年8月10日に国立科学博物館にて高校生のための化学実験講座を開催しました。
さらに、カルシウムハイドライド(CaH2)、カルシウムアミド(Ca(NH2)2)といったヒドリドイオン(H–)を含むアルカリ土類金属がエレクトライドを上回る強力な電子注入能力を持つことを発見し、特にCa(NH2)2にRuを固定した触媒やバリウムオキサイド(BaO)とCaH2の混合物にRuを固定した触媒でRu/C12A7:e–をさらに大きく上回るアンモニア生成速度を示すことを新たに示しました(共にACS Catalysisにて発表)。
高触媒性能・高均質な固体触媒開発
固体触媒は、多くの化学工業プロセスに使用されており、まさに化学工業の心臓部といえる重要な物質です。しかし、固体触媒の「どこで、どのように」触媒機能が発現しているのかについては、これまで多くのことが解明されていませんでした。その原因は、固体触媒の発展の歴史にあります。 触媒化学の発展期である1900年代初頭において、最も重要視されたのは有用化学品の大量生産でした。このため、触媒にはまず性能が求められ、性能向上のために多くの金属元素が使用されるようになりました。その結果、優れた性能を示す多くの固体触媒が開発され、人々の生活は格段に豊かになりました。しかし、この時期に開発された触媒は多元素から構成されており、その構造は非常に複雑です。そのため、触媒作用がどこでどのように発現しているのかを明確にすることは非常に困難でした。
そこで私たちは、複雑な構造を調べるという発想から離れ、物質合成の観点からこの問題にアプローチすることにしました。シンプルな物質状態でありながら、優れた触媒性能を持つ結晶性固体を開発できれば、その均質な組成と構造により、触媒反応が構造の「どこで、どのように」発現しているのかを調べることができるはずだ、という考えです。 この考えに基づき、私たちはアルカン選択酸化反応、不飽和アルデヒド選択酸化反応、NH3を用いたNOx還元反応、アルカン異性化反応などにおいて、工業用触媒よりも優れた触媒活性を示す高均質な結晶性触媒の開発に成功しました。 これらを用いることで、美しいほどに秩序だった局所構造で触媒反応が進行することを明らかにしました。この研究成果は、触媒化学の学問的発展に寄与するだけでなく、工業触媒のさらなる改良に向けた設計指針を提供します。固体触媒の真の姿を明らかにするため、日々研究に励んでいます。
トピックス
喜多助教が 2022年度触媒学会奨励賞を受賞しました!
Journal of the American Chemical Societyの内容が以下のメディアに掲載されました!
ACS Applied Materials & Interfacesの内容が以下のメディアに掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
日刊工業新聞 2022年2月9日付朝刊32面「炭素と水素結合 常温常圧で酸化 東工大が触媒」
Chemical Scienceの内容が以下のメディアに掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
日刊工業新聞 2020年9月18日付「バイオマスからアミン合成 東工大、固体触媒を開発」
ACS Applied Materials & Interfacesの内容が以下のメディアに掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
科学新聞 2020年8月28日付4面「多孔質β-二酸化マンガン微粒子触媒、簡便な合成手法開発」
Nature Communicationsの内容が以下のメディアに掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
化学工業日報 2020年4月27日付「50度Cでアンモニア、新触媒を開発、自然エネで合成へ」
日刊工業新聞 2020年4月27日付「アンモニア、50℃で合成 東工大が新触媒開発、生産時のCO2排出ゼロへ」
日本経済新聞 2020年5月17日付「アンモニア、低温で合成、東工大が新触媒、生産コスト削減」
JACSの内容が以下のメディアに掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
JST共同発表はこちら!
本研究成果の関連記事が、以下のメディアに掲載されています。
化学工業日報 2019年1月9日付朝刊1面
日経産業新聞 2019年1月17日
ACS Applied Materials & Interfacesの内容が以下のメディアに掲載されました!
Chemical Scienceの内容が東工大ニュース、化学工業日報に掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
化学工業日報 2018年7月3日付朝刊1面
鎌田准教授が 平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞 を受賞しました!
鎌田准教授が平成30年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞しました!
業績名: ポリオキソメタレートの構造制御と触媒機能に関する研究
JACSの内容が東工大ニュースに掲載されました!
詳しくはこちら!
本研究成果の関連記事が、以下のメディアに掲載されています。
化学工業日報 8月15日付2面
Chemical Processing
Renewalbe Energy Magazine
ChemEurope.com
AZO Cleantech
Green Car Congress
Health Medicinet
R&D
ScienceNewsline
Phys.Org.
EurekAlert
Synfacts
鎌田准教授が 平成29年度東工大挑戦的研究賞 学長特別賞 を受賞しました!
鎌田准教授が平成29年度東工大挑戦的研究賞 学長特別賞を受賞しました!
業績名: 高難度反応実現のための複合酸化物触媒の創製
Chemical Scienceの内容が東工大ニュースに掲載されました!
東工大ニュースはこちら!
本研究成果の関連記事が、以下のメディアに掲載されています。
日経産業新聞 2月23日付朝刊8面
化学工業日報 2月27日付朝刊6面
科学新聞 3月10日付3面
環境展望台
EurekAlert
Synfacts
ChemSusChemのBack Coverに採用されました!
二酸化マンガンを用いた5-ヒドロキシメチルフルフラールの酸素酸化に関する論文がChemSusChemのBack Coverに採用されました。
ChemCatChemのBack Coverに採用されました!
ペロブスカイト型酸化物触媒によるアルコール類の酸素酸化に関する論文がChemCatChemの Back Coverに採用されました。
ACS Catalysisの内容が東工大ニュース、JST共同発表、日本経済新聞に掲載されました!
Nature Communicationsの内容が東工大ニュース、JST共同発表、日本経済新聞に掲載されました!
中島助教が 平成26年度触媒学会奨励賞 を受賞しました!
中島助教が平成26年度触媒学会奨励賞を受賞しました!
業績名: 水中で機能する固体ルイス酸の開発と糖変換反応への応用
中島助教が 平成26年度東工大挑戦的研究賞 を受賞しました!
中島助教が平成26年度東工大挑戦的研究賞を受賞しました!
業績名: 新規な水中機能触媒を用いた植物由来炭化水素からの必須化学品原料の環境低負荷合成
原先生が 平成25年度 第31回日本化学会学術賞 を受賞しました!
原先生が平成25年度 第31回日本化学会学術賞を受賞しました!
業績名:環境適合性の高い不均一系酸触媒・アンモニア合成触媒の開拓
中島助教が 平成24年度 石油学会奨励賞(出光興産賞) を受賞しました!
中島助教が平成24年度 石油学会奨励賞(出光興産賞)を受賞しました!
業績名: 水中で機能する酸化ニオブおよびスルホン化カーボン固体酸触媒の開発とバイオマス変換反応への応用
国際会議
7th International Symposium on Acid-Base Catalysis
(ABC-7, Tokyo)
国際会議
『 7th International Symposium on Acid-Base Catalysis 』
(ABC-7, Tokyo)
の情報をアップしました。
原先生が平成24年度 文部科学大臣表彰の科学技術賞(開発部門) を受賞しました!
原先生が平成24年度 文部科学大臣表彰の科学技術賞(開発部門)を受賞しました!
業績名:低炭素化固体酸触媒の開発 (受賞番号20)
私たちの研究が日経産業新聞で紹介されました.
植物由来の糖を樹脂原料に転換.
-日経産業新聞2011年9月7日-
私たちの研究活動が週刊現代に
「植物由来の糖を樹脂原料に転換」
というタイトルで紹介されました.
週刊現代で私たちの活動が記事として掲載されました
-週刊現代2010年12月号-
私たちの研究活動が週刊現代に
「環境を守る錬金術師」
というタイトルで紹介されました.
シアノバクテリアによるアンモニア生産
プロジェクト始動
私たちの研究が日経産業新聞で紹介されました.
チタン酸ナノチューブ化学工業を革命する.
-日経産業新聞2010年5月12日-
研究成果として
「チタン酸ナノチューブの固体酸触媒としての利用」
というタイトルで米国化学雑誌 Journal of The American Chemical Society のコミュニケーションにも掲載されました.
爆笑問題、当グループに挑む。
今年(2009年)、4月21日(火)夜11:00~11:30 NHK総合テレビジョン
「爆問学問 爆笑問題のニッポンの教養」で放映!タイトルは「永久エネルギー誕生」
熱いバトルの幕が今切って落とされる。
茂木健一郎さんと対談する。「とても楽しかったです。」(原)
-日経サイエンス2008年9月号-
脳科学者の茂木健一郎さんと当グループの原が対談しました。
当グループの闇が、今、明かされる?対談内容は「日経サイエンス」2008年9月号の100~105ページにわたって掲載されました。
私たちの成果が論文で発表され、内容が日本経済新聞を始めとした各新聞で報道されました.(2008年8月)
私たちの研究成果「固体触媒によるセルロースからの糖の製造」が化学系フルペーパー学術誌の最高峰"Journal of The American Chemical Society"で掲載されました。(J. Am. Chem. Soc. 2008, 130(38), 12787.)
このことは、日本経済新聞を始めとした各新聞、マスメディアで報道されました
私たちのグループ、神奈川科学技術アカデミーにも出現。
―原「エコ固体酸触媒プロジェクト」―始動(2007年4月1日)
そのポテンシャルが国内外で高く評価されている神奈川県の公的研究機関「神奈川科学技術アカデミー(KAST)」。
この研究機関が年1件だけ募集する「創造展開プロジェクト」に当グループのテーマが採択されました。その名も原「エコ固体酸触媒プロジェクト」。
これを機会に東京工業大学とKASTの間で、研究・教育に関する組織的連携協定を締結。国内外の大学―公的研究機関―企業を結ぶ壮大なスケールのプロジェクトが今、始まります。
Scientific American誌(日本語版「日経サイエンス」)が当グループの研究成果を「年間ベスト50」に選びました(2006年12月に掲載)
160年の歴史があり、13ヶ国語に翻訳されている世界有数の米国科学誌Scientific American(日本語版名「日経サイエンス」)。この雑誌は科学技術の各分野で研究、ビジネス、政策などについてリードした個人や企業、団体を 毎年50件選出し、その12月号で発表しています。例えば、昨年はGoogleがベスト50に選ばれました。(昨年の「ベスト50」の記事)
今年度(2005年10月~2006年9月)は当グループの研究が日本でただ一つベスト50に選ばれました。
この受賞は2006年11月6日にリリースされ、Scientific American12月号、日経サイエンス1月号で発表されます。
プロトニック・ソリッドによる革新的バイオディーゼル合成を英科学誌「ネイチャー」で発表(2005年11月)
当グループが開発したプロトニック・ソリッドによる革新的なバイオ・ディーゼル合成を英科学誌「ネイチャー」で論文発表しました。
"Biodiesel made with sugar catalyst", Nature, 438, 178 (2005).
この研究成果は国内の多くのメディアで紹介されただけでなく、海外の主要メディアでも報道されました。
凸版印刷との共同研究により燃料電池用新素材の開発に成功(2006年1月)
当グループと凸版印刷との研究により高分子電解質型燃料電池用の高性能プロトン伝導体の開発に成功し、新聞で発表しました。
- Asahi.comの記事(2月3日)
- 日経BP(2月3日)
当グループのバイオ・ディーゼルの研究が米国一般ニュース番組「National Geographic」で報道されました(2005年11月)
プロトニック・ソリッドが英科学誌「ネイチャー」で紹介されました。(2004年5月)
当グループが開発したプロトニック・ソリッドが英科学誌「ネイチャー」で紹介されました。
"Solid prospect", Nature, 429, 519 (2004).