最近の研究テーマ

最近行ってきた研究テーマには以下のようなものが有ります。

  イオン液体

  金属錯体

  超イオン導電体

  金属ガラス

  リラクサー誘電体

  フラストレーション磁性体

その他にも様々なテーマもあり、また自分で発案したテーマを進めていくことももちろん可能です。
  過去の研究テーマ

イオン液体


  一般にNaClのような無機塩は室温では固体として存在し、加熱すると高温で融解して液体になります(溶融塩)。 イオン液体は融点が室温よりも低い溶融塩であり、嵩高い有機カチオン(イミダゾリウム系, ピリジニウム系など)と アニオン(Tf2N-, PF6-, BF4-など)で構成されています。これらは室温で液体であるにも関わらず高イオン導電性、 不揮発性、化学的安定性などの興味深い特性を持つことから注目を集めており、現在多くの研究が行われています。 また安全面における利点から反応溶媒や電解質溶液の代替物などの新しい材料として実用化も期待されています。 しかし、それらの構造や物性は未だ解明されていない点が多く基礎的な研究が重要視されています。 特に熱力学的性質については融点などのデータは報告されていますが、それらの相転移機構に関する詳細な知見はあまり知られていません。 そのため本研究室ではイオン液体の熱力学的性質を調べることを目的としています。
  これまでに断熱型熱量計を用いてイオン液体の結晶相、液相、過冷却液相およびガラス状態の熱容量測定を行い、 室温以下でいくつかの相転移現象や結晶多形現象を観測しました。それらの熱容量測定結果より、融解現象を中心に解析を行っており、 純物質の融点、融解エンタルピーなどの融解の熱力学量を決定することで相転移挙動についての考察を行っています。 そしてこれらの熱力学量を系統的に比較することにより、イオン液体のアルキル鎖長効果に関する熱力学的性質についての解析を進めています。


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金属錯体


  多孔性金属錯体は金属イオンが架橋配位子で配位結合されており、規則的な細孔構造をもつ一連の化合物のことです。 架橋配位子をかえることで細孔の大きさが調節できます。細孔を利用した研究として分子貯蔵、分子ふるい、触媒など 様々な分野で応用が期待されています。しかし、細孔を利用した実用化に向けての研究が行われている一方で、 吸蔵された分子の挙動の機構などの物性研究は行われていません。本研究室では分子吸蔵に伴う相転移機構の解明をDSC測定、 熱容量測定、構造解析等を行い、吸蔵分子にともなう相転移機構の解明を行っています。
  これまで当研究室では、一次元細孔構造を有するジカルボン酸銅錯体について有機分子を吸蔵させた系について熱測定、 構造解析等を行い、相転移機構を研究してきました。この錯体に有機分子を吸蔵させると、無吸蔵時に観測されていた相転移が 消失することがわかりました。現在は、三次元細孔構造を有するテレフタル酸亜鉛錯体を用いてシクロヘキサンなど 種々の有機分子を吸蔵させた系について相転移機構の解明を行っています。


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超イオン導電体


  現在、世界規模でエネルギー問題に関心が集まっている。それは、化石燃料の枯渇、 排出ガスによる地球温暖化など負の面が主に目立っている。この問題を改善でき得る物質がプロトン伝導体である。 プロトン伝導体は、来るべき水素社会のための(プロトン伝導)固体酸化物形燃料電池や水素センサーなど、 幅広い応用が期待されている。本研究室では、未知の部分が多いプロトンの低温域での挙動・伝導率と熱容量との関係など 構造やダイナミクスの解明を目指して基礎的研究を展開している。


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金属ガラス

  熱容量は、物質の構造と物性の相関を明らかにする、研究において極めて重要な情報を秘めた物理量です。 数ある熱容量測定法の中でも格段に優れた確度・精度を誇る測定法として、断熱法があります。ガラスは非平衡凍結状態であり、 ガラス転移点より低温側でアニールすることにより構造緩和することが知られています。そこで緩和の程度の異なるガラス試料および 結晶化させた準備し、熱容量を比較しています。これらの熱物性を調べることにより、緩和機構について詳細な研究を行っています。



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リラクサー誘電体

  リラクサーとは誘電率がブロードなピークを持ち、また誘電率に周波数依存性が見られる物質です。 この様な現象は相転移が凍結しているためだと考えられています。この相転移の凍結を考える上で、 転移エントロピーは非常に重要なパラメータです。本研究室では、エントロピーを定量的に見積もれる熱容量を測定することにより、 リラクサーの相転移挙動について考察することを目的として研究しています。 特にリラクサーの誘電率のピークは室温以上の温度で起こるため、高温熱容量測定を行っています。




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フラストレーション磁性体

  図1のように三角格子の頂点に磁性イオンを配置し、その間に反強磁性相互作用が働く場合に、 二つの磁気モーメントの向きを反平行にすると、三番目の磁気モーメントはどちらに向けても残りの磁気モーメントと反平行に なることができず都合がよくありません。これが幾何学的フラストレーションが存在する状態であり、このような系は興味深い物性を示します。 化学式A2B2X7で表されるパイロクロア化合物や化学式AB2X4の式で表されるスピネル型化合物のBサイトは、 四面体の頂点をつなげたパイロクロア構造となります。このサイトに磁性イオンを配置すると三角格子のフラストレーションが発生し、 様々な特異物性を示します。本研究室ではこの種の化合物の熱容量および熱膨張率を測定し、 それらの物質に現れる特異な現象について研究しています。


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