図1のように三角格子の頂点に磁性イオンを配置し,その間に反強磁性相互作用が働く場合に,二つの磁気モーメントの向きを反平行にすると,三番目の磁気モーメントはどちらに向けても残りの磁気モーメントと反平行になることができず都合がよくありません.
これが幾何学的フラストレーションが存在する状態であり,このような系は興味深い物性を示します.
AB2X4の式で表されるスピネル型化合物(図2)はBサイトが四面体の頂点をつなげたパイロクロア構造となります.
このサイトに磁性イオンを配置すると三角格子のフラストレーションが発生し,様々な特異物性を示します.本研究室ではこの種の化合物の熱容量を測定しています.
これまでにクロムスピネル化合物ZnCr2S4の熱容量測定を行い,低温で特異な逐次相転移現象を観測しました(図3).
この他にも様々なフラストレーション系化合物についても研究を行っています.
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