「リーマン幾何学を用いた格子欠陥理論とキンク解析への応用」
第182回 フロンティア材料研究所学術講演会
「リーマン幾何学を用いた格子欠陥理論とキンク解析への応用」
開催日時 | 2024年06月07日 15:00 - 17:00 |
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開催場所 | 東京工業大学すずかけ台キャンパス J3棟12階 1212号室(地図㉙) |
主催 | 東京工業大学 科学技術創成研究院 フロンティア材料研究所 |
連絡先 | 稲邑 朋也 教授(Email: inamura.t.aa@m.titech.ac.jp) |
プログラム等
講演者:垂 水 竜 一 教授
所 属:大阪大学 大学院基礎工学研究科
講演タイトル: リーマン幾何学を用いた格子欠陥理論とキンク解析への応用
概要:
LPSO型Mg合金に代表される層状構造体に圧縮荷重を負荷すると,キンク変形と呼ばれる特異な塑性変形が発現する。キンク変形の幾何形態は,(i)構成層間の相対的なすべり変形(転位対の形成)と,(ii)それらのキンク界面上への集積(転位対の運動)という,二つの運動学的過程から説明することができる。ここでキンク界面上に集積した転位列は,界面を挟んでシャープな結晶回転を引き起こす。そのためキンク変形と,それに付随して生じる材料強化メカニズムを,回位の概念に基づいて統一的に理解しようとする試みが進められている。キンク変形と回位の同一視は現象論的には正しく,また回位という新しい視点の導入によって材料強化機構の本質的な理解が進むと期待される一方で,この取り組みに対する数理的解析は全く進んでいない。これは従来の格子欠陥理論が学術的に不完全であり,ユークリッド空間内に限定された議論では転位と回位を統一的に取り扱えないことによる.この問題を根本的に解決するため,我々のグループでは微分幾何学に基づく格子欠陥理論の再構築と,キンク解析への応用に関する基礎研究を進めてきた。本講演では、これまで得られた成果について紹介する。