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(Friedrich-Alexander大学研究員 樋口 卓也氏) 
第275回応用セラミックス研究所講演会
(Friedrich-Alexander大学研究員 樋口 卓也氏) 
開催日時 2014年07月03日 17:00-
開催場所 すずかけ台キャンパス J1棟7階 704号室
主催応用セラミックス研究所
連絡先須崎 友文 准教授 (内線:5360)

プログラム等

第275回応用セラミックス研究所講演会

講師:樋口 卓也 (Friedrich-Alexander大学 研究員)

講演テーマ:光周波数帯での動作をめざした、短パルスレーザー誘起真空管デバイスの実現

講演概要:電子デバイスの動作速度を決める一つの大きな要因は、キャリアの応答できるバンド幅です。固体デバイス中の電子は拡散する間に必然的に緩和の影響などを受けるため、そのバンド幅はせいぜいテラヘルツ程度に限られます。しかし真空中の電子はそ のような制限を受けることがありません。真空中の電子の高速応答性は真空管を用いた電子デバイスでも有効に活用されており、半導体デバイスに計算素子としての地位を明け渡しながらも、未だに高周波レーダーなどに真空管が用いられることがあるのは、この高速応答性に因っています。
既存の真空管デバイスでは熱せられたフィラメントから発された熱電子をキャリアとして用いています。この熱電子の放出過程の時間的・空間的なゆらぎが、真空管デバイスの応答速度に上限を与えています。それではこのゆらぎはどこまで抑えることが出来るのでしょうか。そしてその結果、デバイスをどこまで高速に動作させることができるのでしょうか。
今回私達は、極短レーザーパルスの照射によって、近づけた2つのナノメートルサイズの金属針の間に電流を流せること、この電流が整流性を示すことを実験的に明らかにしました。電子の放出過程はパルスの時間幅 (5.2 fs) 内に限られており、電子源の大きさも針の終端の大きさ(半径 10 nm 以下)に抑えられています。さらに2つの針の間の距離が 0.2 μm と小さいことから、電子が陰極から陽極に達するまでの時間も抑えられています。結果として1 ps 以内の時間で動作が完了する非常に高速な真空管ダイオードを実現することができました。この結果は、光の周波数帯でも動作するような電子デバイスへの道を拓くものです。




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