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第51回フロンティア材料研究所講演会 (小林玄器氏)

開催日時 2017年09月29日 14:00 -15:30
開催場所 R3棟1階会議室
主催フロンティア材料研究所
連絡先東 研究室(内線:5315)

プログラム等

第51回フロンティア材料研究所講演会

講師: 特任准教授 小林 玄器 氏
    (自然科学研究機構 分子科学研究所 協奏分子システム研究センター)

講演テーマ: 「H導電性酸水素化物の物質探索 —現状と今後の展望—」

 Abstract:
近年、酸化物の結晶格子内で水素がヒドリドイオン(H)として安定に存在できることが認識され、Hと酸化物イオン(O2ー)がアニオン副格子を形成する酸水素化物が新しい物質探索の対象として注目されている1,2)。結晶格子内に電子供与性の強いHが導入されることによって格子と電子の相互作用が大きく変化し、絶縁体から半導体や金属への転移など、興味深い物性が報告されている2,3)。一方で、Hは電荷担体としても魅力的な特徴を持つ。一般的に、固体内の高速イオン拡散を実現するためには担体となるイオンが1価であること、適度な大きさのイオン半径をもつことが重要であり、1価でフッ化物イオンと同程度の大きさをもつHは高イオン導電が期待できる。また、H/H2の標準酸化還元電位 (-2.25 V vs. SHE) がMg/Mg2+ (–2.38 V vs. SHE) と同程度であることから、Hのイオン導電現象と酸化還元反応を利用した電池反応を実現することができれば、高エネルギー密度が得られる可能性がある。本講演では、我々が開発したH導電性酸水素化物La2-x-ySrx+yLiH1-x+yO3-y (0 ≤ x < 1, 0 ≤ y ≤ 2) 4,5)と最近新たに見いだした新規物質6)を中心にH–導電体の物質開発の現状について紹介する。

  参考文献
[1] M. A. Hayward, M. J. Rosseinsky et al., Science, 295, 1882-1884 (2002).
[2] K. Hayashi, H. Hosono et al., Nature, 419, 462-465 (2002).
[3] Y. Kobayashi, H. Kageyama et al., Nat. Mater., 11, 507-511 (2012).
[4] G. Kobayashi, R. Kanno et al., Science, 351, 1314-1317 (2016).
[5] A. Watanabe, G. Kobayashi et al., Electrochemistry, 85(2), 88-92 (2017).
[6] G. Kobayashi, et al., (in preparation).

 

東 研究室

 

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