(原亨和教授、鎌田慶吾准教授、大場史康教授)
貴金属触媒を使わずバイオマスからプラスチック原料を合成
(原亨和教授、鎌田慶吾准教授、大場史康教授)
東工大ニュース 2019年01月08日
原亨和教授、鎌田慶吾准教授、 大場史康教授と元素戦略研究センターの熊谷悠特任准教授らは、油などの有限資源や貴金属触媒を一切使わずにポリエチレンテレフタレート(PET)から代替えが期待されているポリエチレンフラノエート(PEF)の原料「2,5-フランジカルボン酸(FDCA)」を効率的に合成することに成功した。β-二酸化マンガン(β-MnO2)を触媒に用い、再生可能なバイオマス由来の5-ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)からFDCAを合成した。
原教授らが開発したアモルファス前駆体の低温結晶化法により、大きな表面積をもつβ-MnO2ナノ粒子を合成することが可能になり、従来のMnO2触媒の性能を飛躍的に向上させることを達成した。従来の合成手法では大きな表面積をもつβ-MnO2の合成は困難とされていたが、今回の開発技術を用いれば地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)の排出を大幅に低減することが見込まれる。
限られた化石資源を使わずに化成品を製造することは避けられない課題となっており、そのために新しい触媒材料の設計と開発が切望されている。今回の技術開発はこうした社会のニーズに応えるものといえる。
研究成果は2019年1月7日(日本時間16時)に米国化学会誌「Journal of the American Chemical Society」オンライン速報版で公開された。
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本研究成果の関連記事が、以下のメディアに掲載されています。
化学工業日報 2019年1月9日付 朝刊1面
日経産業新聞 2019年1月17日付 5面