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有機ELテレビ開発‐日本勢の出遅れ必至

日経産業新聞 2011年07月23日 朝刊10面

国内電機大手が液晶より薄く高精細の有機EL(エレクトロ・ルミネッサンス)テレビの開発競争で大幅に出遅れる見通しとなった。

韓国LG電子が2012年後半に55型の大画面製品を発売することが明らかになり、また、スマートフォン(高機能携帯電話)向けを中心に有機ELパネル市場で8割のシェアを持つ韓国サムスン電子も、 テレビ用に13年からの量産開始を目指しているといわれており、大型パネルの量産技術を確立していない日本勢は劣勢に立たされた。 日本勢は、ソニーが07年に世界初となる11型の有機ELテレビを製品化し、今年5月に25型の業務用ディスプレーを投入したが、今後の有機ELテレビの 製品戦略は現段階では、示していない。

有機ELは長寿命化と大画面化等が課題で、生産ラインを建設するには巨額の費用が必要となり、テレビ事業の赤字に苦しむ日本の電機大手の有機ELテレビの製品化への気概が薄れているのが実情。一方で、サムスン電子が東京工業大学の細野秀雄教授が開発した液晶や有機ELテレビの解像度を高める国産の半導体技術に関して先行供与を受ける契約を結ぶなど、技術に対する貪欲さは日韓企業で大きく差が付いてきているとの見方もある。

有機EL用の素材や製造装置に関しては、いまだに日本企業が世界トップ水準の技術力を保持しているが、その技術力を生かす戦略の練り直しが必要だ。

 

細野・神谷・平松研究室

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