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『フロンティア-知恵を絞る』㊦(若井史博教授・坂井悦郎教授)

日経産業新聞 2011年11月30日 朝刊7面

日経産業新聞は11月29、30日付けの紙面で『フロンティア-知恵を絞る』というテーマの下、応用セラミックス研究所を取り上げ、各研究者が行っている研究内容について紹介した。

30日付の朝刊では、応用セラミックス研究所の構造材料研究と建築材料研究に注目し、25年前にセラミックスの「超塑性」の性質を世界に先駆けて発見、以降、セラミックスの「超塑性」の研究を続けている、若井史博教授を取り上げた。セラミックスは金属より腐食しにくく、高温・高圧など過酷な条件のプラントやエンジン部品などに向くが長年の研究でも超塑性で金属並みの性質はまだ得られず、実用化していないが、同教授はコンピュータシュミレーションにより、「粒界が超塑性を高めるカギを握る」ことを発見、さらに、シュミレーションと実際の試料を使う実験を同時に行い、セラミックスをより容易に加工できる条件を探索している。 

また、日本を代表するセメントの専門家として、高性能のセメントの開発とともに、「産業廃棄物をいかに多く再利用して循環型社会を築くか」という研究を行ってきた、坂井悦郎教授の研究活動を紹介した。過去の研究により、国内で生産されているセメント1000キロ当たり470キロの廃棄物が再利用可能となったが、今年3月の福島第1原子力発電所事故により、放射能を帯びた廃棄物の再利用が不可能となり、廃棄物の循環サイクルが一部止まってしまっている。使える廃棄物をより有効利用し、セメントに含める比率をさらに増やすという課題が、同教授に課せられた。同教授は、(現在よりも1.3倍まで比率を高めることは可能だが、)「セメントの組成の見直しも伴うので、容易ではない」と述べた。

同記事では、応用セラミックス研究所の母体である「建築材料研究所」の設立の経緯や現在の研究所に至るまでの歴史を紹介。設立当初と比べて、建築系と無機材料(窯業)系の研究目的が共通ではなくなってきているが、人の『安全・安心』を統一テーマにセラミックスが活躍する幅を広げるために、個々の研究者が最先端研究に挑んでいると述べた。さらに、日本の材料研究は、歴史が長く層が厚く、現在は世界でも優位に立っているが、いかに守り育てるかが将来のために重要な課題になると強調した。



若井研究室

坂井・宮内研究室



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