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ゲルマニウム酸化物の透明電子伝導体を実現 (細野秀雄教授ら)

日経産業新聞 2011年09月15日 11面他

細野秀雄教授、溝口拓特任准教授、及び神谷利夫教授、松石聡助教は、SrGeO3(ゲルマン酸ストロンチウム)の組成からなる新しいタイプの透明電子伝導体を実現した。

透明電子伝導性材料はフラットディスプレーをはじめ幅広い応用があり、現代社会において必須の機能材料となっている。一方、そのほとんどはインジウム、スズ、カドミウムなどの重金属を主成分とする酸化物であり、希少、高価、かつ毒性を持つものが多いというのが現状である。そこでより軽元素を主成分とする代替材料が待望されていた。本研究グループでは典型的な絶縁体として認識されているゲルマニウム系酸化物(光ファイバーのガラスの原料に用いられている典型的な絶縁体)に注目し、高圧合成法を駆使することにより透明で比較的高い電気伝導度を持つSrGeO3の開発に成功した。

高圧下で合成されたSrGeO3は結晶構造中に、GeO6八面体を構成単位として含んでおり、これが高電子伝導性を発現させる鍵となっている。現状での直流電気伝導度は3S/cm程度であるものの、粒界の絶縁層の影響を除去すれば、2桁以上の向上が見込まれており、今後の展開が期待される。これまで、絶縁性材料の代表的物質の一つであったゲルマニウム酸化物も、きめ細かな原子レベルからの材料設計により、透明電子伝導物性が発現できたわけで、この設計法を発展させることにより、よりありふれた酸化物でTCOを発現させる可能性が出てきた。

本研究成果は、平成23年9月14日にNature Communicationsに掲載された。

また、同研究成果は日経産業新聞他、4紙に掲載された。同研究成果の詳細については、本学発表および「最近の研究成果」を参照。

 

細野・神谷・平松研究室

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