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1μm(マイクロメートル)以下の亀裂進展で割れにくく(若井史博教授)

化学工業日報 他1紙 2015年06月22日 朝刊6面

 化学工業日報は6月22付の朝刊で、若井史博所長と吉田貴美子大学院学生、ドイツ電子シンクロトロン研究所の西山宣正博士らの研究グループは、1μm以下のわずかな亀裂進展でセラミックスが割れにくくなることを突き止めたと報じた。二酸化ケイ素の高圧相であるスティショバイトを集束イオンビーム加工した微小試験片を用い、靱性が急激に増すことを確認した。スティショバイトの高靱性の起源は「破壊誘起アモルファス(多結晶)化」だが、この仕組みが1μm以下の領域でも働くことを明確に示した。

 セラミックスは硬いが、小さな傷(亀裂)から割れて破壊する脆(もろ)さがある。強度を保つためには、亀裂は小さくなければいけない。一方、破壊に対する抵抗性(靭性)は亀裂が進んで長くなるほど増す。このため、硬さと高強度を両立したセラミック材料を実現するには、亀裂がわずかに進むだけで靭性が大きくなる仕組みを見つけなければならない。しかし、これまでに知られている仕組みでは、靭性を増すためには亀裂が数μmから数十μm以上進む必要があった。

 今回の技術を応用すれば、ナノメートル領域で働く新タイプの靭性強化機構の探索と実証が可能となり、高強度と高靭性を両立したセラミックスの実現に大きく近づく。研究成果は6月8日発行の科学誌「Scientific Reports(サイエンティフィック・レポート)」オンライン版に掲載された。

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若井研究室



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