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35ケルビンに ―(平松秀典准教授、細野秀雄教授)
鉄系超伝導体の臨界温度が4倍に上昇― 絶縁性薄膜に電界印加で
35ケルビンに ―(平松秀典准教授、細野秀雄教授)

東京工業大学プレスリリース、日経産業新聞 他2紙 2016年03月29日

 東京工業大学応用セラミックス研究所 (4月1日よりフロンティア材料研究所)の平松秀典准教授、元素戦略研究センターの細野秀雄教授と半沢幸太大学院生らは、鉄系超伝導体の一つである鉄セレン化物「FeSe」のごく薄い膜を作製し、8ケルビン(K=絶対温度、0Kはマイナス273度C)で超伝導を示すバルク(塊)より4倍高い35Kで超伝導転移させることに成功した。FeSe薄膜が超伝導体ではなく、絶縁体)のような振る舞いを示すことに着目し、電気二重層トランジスタ構造を利用して電界を印加することにより実現した。
 トランジスタ構造を利用したキャリア生成方法は、一般的な元素置換によるキャリア生成とは異なり、自由にかつ広範囲にキャリア濃度を制御できる特徴がある。このため、元素置換によるキャリア添加が不可能な物質でも適用が可能なことから、今後の鉄系層状物質でより高い超伝導臨界温度の実現を狙う有力な方法になると期待される。

 本研究の成果は、3月29日(米国時間28日)に「米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)」に掲載され、東京工業大学からプレスリリースが発表されました。また、4月4日付化学工業日報朝刊、4月5日付日経産業新聞、4月15日付科学新聞に紹介記事が掲載されました。

米国科学アカデミー紀要の掲載はこちらをご覧ください。 

Superconductor Week(2016年7月23日号 p.11-13)に関連記事が掲載されました。

細野・神谷・平松研究室



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