低級アルカンをアルコールへ変換できる安価な鉄触媒を開発 ― CO2排出削減につながる低エネルギープロセスとして期待 ―(鎌田慶吾教授)
東工大ニュース 2024年11月14日
東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院 フロンティア材料研究所の 鎌田慶吾教授らの研究チームは、自然界に豊富に存在する鉄を含む安価で高活性な鉄触媒が、酸素分子のみを酸化剤として、低級アルカンから有用なアルコールへと高効率で変換できることを発見しました。
低級アルカンは入手の容易さとコストの低さから、有用化学品の代替原料として注目されています。しかし、不活性なC–H結合をもつアルカンは活性化が難しいため、温和な条件でアルコールなどに直接変換できる酸化触媒の開発が望まれています。一方、アルコールはアルカンよりも容易に酸化されてCO2などへ変換されるため、酸素分子のみを用いて選択的に酸化変換できる安価な触媒が求められています。
これらの背景から、研究チームは低級アルカンであるイソブタンからtert-ブタノール(t-BuOH)への酸化変換に対する触媒として、鉄の酸化数を制御したペロブスカイト酸化物La1–xSrxFeO3–δの効果を評価しました。その結果、このペロブスカイト酸化物が、酸素分子のみを酸化剤として用いる高活性の触媒として機能することを発見しました。さらに、従来の均一系触媒よりも低い反応温度で、高いアルコール生成能力を示す、安定かつ再利用可能な固体触媒であることも明らかになりました。
本研究成果は、11月1日付の米国化学会専門誌「ACS Applied Materials & Interfacesオンライン版」に掲載されました。
詳細は、Science Tokyoニュースをご覧ください。
【論文情報】
掲載誌 : ACS Applied Materials & Interfaces
論文タイトル: La1–xSrxFeO3–δ Perovskite Oxide Nanoparticles for Low-Temperature Aerobic Oxidation of Isobutane to tert-Butyl Alcohol
著者 : Masanao Yamamoto, Takeshi Aihara, Keiju Wachi, Michikazu Hara, Keigo Kamata*
DOI : 10.1021/acsami.4c15585