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ガラスの「見えない秩序」がテラヘルツ帯の揺らぎを決める (気谷卓助教)

Science Tokyoニュース 2025年04月09日

ガラスは原子が無秩序に結びついた構造を持ちますが、X線や中性子線を用いると、わずかな周期構造が観測されます。東京科学大学(Science Tokyo)総合研究院フロンティア材料研究所の気谷卓助教と筑波大学、大阪大学、東京大学、立命館大学、および京都大学の研究グループは、この隠れた周期性(見えない秩序)が、ガラスの物性に影響を及ぼすテラヘルツ帯の揺らぎ(振動特性)を決定する重要な要因であることを明らかにしました。 

ガラスは一見すると無秩序に結びついた原子の集合体ですが、X線や中性子線を用いて観察すると、わずかに周期的な構造「第一尖鋭回折ピーク(FSDP)」が観測されます。また、ガラスのテラヘルツ(THz)帯の振動として観測される「ボゾンピーク(BP)」は、低熱伝導性や機械的性質、THz光の吸収特性に影響を与えます。しかしながら、FSDPとBPとの関係は未解明でした。 

本研究では、材料の弾性のばらつきを考慮する不均一弾性体理論により、BPの発生がFSDPと密接に関係することを見いだしました。また、理論が予測する最小の弾性不均一性とFSDPのスケールがほぼ一致し、FSDPがガラスのTHz帯振動特性を決定する重要な要因であることが示唆されました。  

本研究成果は、ボゾンピークを制御した新たなガラス材料の開発につながると期待されます。

詳細は、Science Tokyoニュースをご覧ください。

【論文情報】
掲載誌   : Scientific Reports
論文タイトル: Relationship between the boson peak and first sharp diffraction peak in glasses
      (ガラスにおけるボゾンピークと第一鋭回折ピークの関係)
著者    : D. Kyotani(筑波大学)、S. H. Oh(筑波大学)、 S. Kitani(東京科学大学)、Y. Fujii(大阪大学)、H. Hijiya(AGC株式会社)、H. Mizuno(東京大学)、S. Kohara(NIMS)、A. Koreeda(立命館大学)、A. Masuno(京都大学)、H. Kawaji(東京科学大学)、S. Kojima(筑波大学)、Y. Yamamoto(筑波大学)、and T. Mori(筑波大学)
DOI     : 10.1038/s41598-025-94454-8

 

川路研究室



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