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ー 電池のリサイクル容易化と製造コスト低減に道、循環型社会の基盤創出へ ー (安井伸太郎准教授)
世界初、大気下でつくる新しいリチウムイオン電池電解質
ー 電池のリサイクル容易化と製造コスト低減に道、循環型社会の基盤創出へ ー (安井伸太郎准教授)

Science Tokyoプレスリリース 2025年07月30日

東京科学大学(Science Tokyo) 総合研究院 ゼロカーボンエネルギー研究所の白鳥洋介特任教授と安井伸太郎准教授らの研究チームは、水と非晶質四ホウ酸リチウムによるスライム化反応界面にリチウム塩Li(FSO2)2N(LiFSI)を介在させることで、リチウムイオン伝導経路が内部に3次元的に広がる準固体電解質(3D-SLISE)の合成に成功しました。3D-SLISEは、機械学習により見出されたやわらかい非晶質(amorphous)四ホウ酸リチウム(a-Li2B4O7)を母相として、セラミックス合成技術と分散塗布技術を駆使して、複合化という新しい視点を取り入れることで実現しました。作製した3D-SLISEを一般的な正極活物質LiCoO2および負極活物質Li4Ti5O12と組み合わせて準固体電池を作製し、その性能を評価したところ、室温3Cにおいて400回を超える駆動を達成しました。 

3D-SLISEは容易に水へ再分散するため、使用済み電池から活物質を直接回収できます。これは従来の金属を抽出するリサイクルとは異なり、直接材料を回収し利用できる “ダイレクトリサイクル”の実現を意味しており、電池材料の循環利用社会を支えるコア技術となる可能性を秘めています。本研究で作製された電池はセパレーターも可燃性電解液の注入工程も必要としない世界初の水系準固体リチウムイオン電池です。製造時にドライルームやグローブボックスなどの厳しい環境制御が不要であり、製造コストの大幅な低減も期待されます。 

本成果は、7月9日付の「Advanced Materials」誌に掲載されました。 

本研究成果の関連記事が掲載されました。
・日刊工業新聞 2025年8月4日付 朝刊21面
 

 

掲載誌 : Advanced Materials
論文タイトル : Borate-Water-Based 3D-Slime Interface Quasi-Solid Electrolytes for Li-ion Batteries
著者 : Yosuke Shiratori, Kenta Watanabe, Kengo Saito, Ryota Sato, Yukihiro Okuno, and Shintaro Yasui
DOI: 10.1002/adma.202505649

詳細は、Science Tokyoニュースをご覧ください。

 



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